青の名前

青の名前

天川栄人のブログです。新刊お知らせや雑記など。

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【既刊紹介】『花仙国伝』

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【あらすじ】

後宮の睡蓮と月の剣

"花仙"に選ばれし者が王となり、百花繚乱の世に――瑞湖国の片田舎で暮らす少女・明遠。ある日突然王宮からお迎えが。当代の花仙、美貌の青年"睡蓮"に指名され、新王として、陰謀渦巻く後宮に切り込む事に!?

●金の獅子と風の蒲公英

芸術の都・北煌。新たに咲いた花仙の蒲公英は、己の王が見いだせずに焦っていた。破天荒な礼苑、生真面目な叡春との出会いで少しずつ前を向き始めるが、王不在の北煌に侵略の手が迫り……!?

【よもやま】

後宮の睡蓮と月の剣

 まさか自分が中華ものを書くなんて。人生わからんものです。

 明遠という名前はお友達の中国人留学生ちゃんからお借りしました。実物の明遠ちゃんはキュートで朗らかな秀才です。「遠という漢字はちょっと男の子みたい。『明遠』はかっこいい名前です」とのこと。大事な大事な名前です。

 名前と言えばヒツジもお気に入りです。予知夢→眠る→睡蓮→未草→ヒツジ! という感じの連想ゲーム。SheepといえばSleepだしね。イラストご担当の宵マチ先生が、ときにふわふわ可愛らしく、ときにキリリと美しく描いてくださいました。

●金の獅子と風の蒲公英

 蒲公英って、たんぽぽっていう響きもいいし、Dandelionという勇ましい英名も素敵。可愛らしい外見の陰に、したたかな強さを隠し持った花だと思います。

 ヒーロー・礼苑(れおん)の名前はもちろんLeo=Lionから来ています。ライオンの群れは英語でPride……という連想から、彼を取り巻く六門のキャラたちが出来上がりました。名前はほんとうに大事。

 刊行からしばらく経ちますが、電書では今でもよく読んでいただいている印象です。ありがとうございます!

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【既刊紹介】『天球の星使い きみの祈りを守る歌』

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【あらすじ】

 生まれた時から自分に宿る星の力を使う“星導士”が頂点に立つ世界、星の原。星をもたない少女・アステラを傍で守ってくれていたのは、謎の男・ロキ。でも彼の本当の目的も正体も、アステラには分からないまま。守られるだけなのは嫌――独り立ちを決意し、星導士の集う“学院”に足を踏み入れたとき、アステラの世界は変わり始めた……。

【よもやま】

 星! 石! 魔法! 自分がわくわくするモチーフを詰め込んだ、世界観みっちりファンタジー。『ノベルダムと本の虫』もそうですが、ヘンテコな世界を作るのが大好きなので、こういうお話また書きたいです。作中コスチュームは、「ジョージアの伝統衣装ぽく!」とオーダーしました。加々見絵里先生のイラスト、超素敵なんですよ。

 小さなころの夢はプラネタリウムの解説員になることでした。この本で真似事みたいなことができて楽しかったです。冬のダイヤモンドは実際の夜空で繋いでみるととっても大きくて、迫力満点です!

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 ところで、異世界なのに現実と同じ星座なのはおかしい、とご指摘いただくことがあります。確かにおかしいよね。でも「俺の宇宙では出るんだよ」*1

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*1:スター・ウォーズ」シリーズのジョージ・ルーカス監督が「宇宙空間は真空なので音は出ないはず、映画の音はおかしい」と指摘された際に返したとされる言葉。いつも心にルーカスを。

【既刊紹介】『オリヴィアと薔薇狩りの剣』

 

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【あらすじ】

 火事から父を助けようとした瞬間、異世界の島・ログレスにトリップしてしまった女子高生の織葉。人食い薔薇に襲われたのを救ってくれたのは、氷のように冷たい美貌の騎士・ギンレイ。元の世界に戻るため、人食い薔薇を退治する薔薇騎士団に入った織葉だが、ギンレイは冷たい言葉ばかり投げかけてきて――。

【よもやま】

 異世界トリップも恋愛ものも、どちらも書いたことがなかったので、本当に難しかったです。『ノベルダムと本の虫』と同時進行だったこともあり、かなり苦しんだ記憶。

 でも、高星麻子先生のキャララフを見た瞬間、もろもろの苦労も一瞬で吹き飛びました。今まで自分の中にしかいなかった架空のキャラクターが、誰か別の人の手によってビジュアライズされて、目の前に立ち上がってくる感動は、何度味わっても鳥肌ものです。ラノベ書いててよかった~!

 ちなみに、キャラクターの名前は薔薇の品種名から取っています。以下興味のある方だけどうぞ↓

🌹オリヴィア

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 🌹ギンレイ

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 🌹ウォルター

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 🌹スカーレット

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 🌹ニコロ

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【既刊紹介】『ノベルダムと本の虫』

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【あらすじ】

「物語の王国へおいでなさい、アミル」本好きな少女・アミルが招かれたのは、『物語機関(ノベルエンジン)』という独自の技術を使って本を独占し、長い戦争の中で中立を保つイストリヤ王国――通称『物語の王国(ノベルダム)』。遅刻魔の上司・ディレイや個性的な同僚とともに王立図書館司書『本の虫』として働き始めるアミルだが、広大な図書館には未完の傑作『五國物語』の謎が隠されていて……!? 

【よもやま】

 第13回角川ビーンズ小説大賞・審査員特別賞受賞作。天川のデビュー作です。

 もしも、お城のような超巨大な図書館があったら? 物語が具現化する技術があったら? 夜の図書館、小型飛行機、月光、ペン、自分だけの大切な一冊……どれか一つでもビビッと来る方は、ぜひ。

 受賞したのは角川ビーンズ文庫の賞ですが、文庫ではなく単行本での出版という、少々特殊な形でのデビューでした。デザイン面での遊びも含め、やりたいことをやりたいようにやらせていただき、編集部のみなさまには、心から感謝しています。スオウ先生にイラストをつけていただけたのも、一生の自慢です。

「デビュー作にはその作家の全てがある」と言われます。物語るということを、これからもずっとずっと、真摯に考えていこうと思います。

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青の名前

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 その昔この世界を創った『彼』は、あるとき悲しみのため息からひょいと飛び出した青という色に、実際魅了されてしまった。
 青は気まぐれだった。『彼』を抱きしめては宥め励まし、かと思えば急にきびすを返して『彼』を絶望の淵に突き落とした。舌の上でざらつくような甘い笑みをたたえながら、肌を刺す棘のドレスばかり好んで身に纏った。怒鳴り散らして泣きわめいて好き勝手エネルギーをぶちまけたあと、不意にストンと落ち着いて「お腹すいた」なんて呟くのだから、『彼』はもう参ってしまった。
 青に振り回されることに疲れた『彼』は、自分自身青に飲み込まれてしまわないうちに、青を分離することにした。青を小瓶に閉じ込めておいて、その小瓶を三日三晩振り続けたのだ。そうして出来た半透明の上澄みを天に、底にどろんと沈んだほうを地に、それぞれ丁寧に貼りつけ、再び混じり合わないように、間にチョークで線を引いた。
 けれど『彼』はそれでも、どうしようもなく青を愛していたから、二つに分かたれた青のそれぞれを、手に掴めない形にしておいた。掴もうとしてもすり抜けるように、どの形にも囚われないように。この気まぐれでわがままな青を、他の誰にも奪われないように。

 人はそれを、空と海と呼んだ。

 世界で一番大きな青と青は、だから今でもその手を繋げずに、互いに見つめ合っては相手の影を映しとっている。

 

noteからお引っ越ししました。

 以前と変わらず、書きたいときに書きたいことを書く、ゆるい感じの運用でいきたいなーと思っています。noteの記事は移すかもしれんし移さないかも。

 引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。