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天川栄人のブログです。新刊お知らせや雑記など。

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【9/13発売】『アンドロメダの涙 久閑野高校天文部の、秋と冬』

 今年3冊目のYAが出ます!
アンドロメダの涙 久閑野高校天文部の、秋と冬』(講談社)9/13発売予定です。

 4月に出た『セントエルモの光 久閑野高校天文部の、春と夏』の続編です。
 表紙イラストは引き続き金子恵さん。少しだけ成長した(?)クガコー天文部メンバーたちを雰囲気のあるタッチで描いていただきました。本当に素敵! ありがとうございます。

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【あらすじ】

 11月の文化祭で、えるもたち天文部はプラネタリウムを上映することになった。技術面のサポート要員として、工業科2年で嵐士先輩の幼なじみの淳先輩を迎え、プラネタリウム作りを開始する。
 天球儀の穴あけ作業に加え、段ボールドームの準備や解説原稿の製作などで、天文部員たちはてんやわんや。
 そんな中、まわりから自分の進路について考えるように言われたえるもは、嵐士先輩や淳先輩たちの進路選択を間近で見ながら、迷い悩む――。

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 天文部の文化祭と言えばプラネタリウムでしょ! ってことで、大学時代に天文同好会でプラネ製作をした経験をフル活用して、プラネのお話を書きました。細部は違いますがほぼ実体験。リアルさはお墨付きです。

 私はプラネタリウムがきっかけで星好きになった人間なので、プラネが本当に大好きです。でも星好きとしてはもちろん、プラネだけじゃなくて本物の夜空も眺めてほしいと思います。ただ、本格的な天体観測となると、実際ハードルが高い。プラネは手軽だからこそ、星をあまり知らない人でも楽しめるのですよね。

 簡単できれいだけど「偽物の」夜空。カオスに満ち一筋縄では行かない「本物の」夜空。どっちが良くてどっちが悪いとかじゃない。

 これって夢を見ることに似てるような気がするのです。

 夢を見ることは簡単だけど、それを本当に実現するのは難しい。でもじゃあ、夢を見るのって悪いことなんでしょうか? あるいは、自分だけの夢なんて見つからなくて、ひとまず目の前の現実に手一杯になってしまうのは、悪いことなんでしょうか? 夢と現実に挟まれて、進路選択に悩んでいる読者さんに、この本が届けばいいなと思います。

 *

 さて折しも今年は近代プラネタリウム誕生100年の節目の年。各地のプラネタリウムが盛り上がりに盛り上がっているのであります。
 そんなご縁もあり、月刊星ナビ2023年10月号に、クガコー天文部シリーズの特集を載せていただいています! なんとカラーで見開き2ページ。(いいんですか??)
 実際の自作プラネの様子がわかる写真もたくさん載っていますので、ぜひチェックしてみてください。

www.kadokawa.co.jp 

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 クガコー天文部シリーズは、『セントエルモの光』『アンドロメダの涙』の上下巻で完結です。上巻では色々ゴチャついていた人間関係にも、下巻で一応決着がつきます。

 実はこの作品は当初、児童文庫のシリーズ向けに企画していた作品でした。ただ、小中学校には天文部は少ないので*1いっそ高校生を主役にして、YAに仕立ててみては? ということになり、それならSNSとの付き合いとか進路選択とか、高校生っぽいことを盛り込みたい! という流れで、気づけばこういう作品になっていたのでした。

 改めて読み返すと、えるもも嵐士も本当に困った人間で、言わなくていいことばっかり言うし、やらなくていいことばっかりするし、ずーっとうだうだ悩んでは空回りばかりしています。でもまあ思春期ってそういうものです。スマートな答えなんか出せなくていいし、そもそも世界ってそんな単純にできてないので、迷いながら進むくらいでちょうどいいんだよ。悩むのに疲れたら、たまには星空を見上げて、深呼吸してみてください。

 9/13発売です! どうぞよろしくお願いいたします。

 予約・ご購入はこちらから↓

bookclub.kodansha.co.jp

*1:視界が悪く気温も下がる夜間の天体観測は、子どもにとっては非常に危険です。お子さんと観測される際は十分お気をつけください。