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天川栄人のブログです。新刊お知らせや雑記など。

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11月月報

【お知らせ】

『1話10分 恋愛文庫』(新星出版社)発売中です! 今年の刊行はこれで終わりです。よくがんばりました。

eight-tenkawa.hatenablog.com

【お仕事】

・新刊のキャラデザが来る。嬉しい。来年が楽しみ。

・YAA! さんのオンライン読書会、ありがとうございました!
 ふだん褒められ慣れていないので、参加者の皆さんが拙作の感想を述べてくださるたびに感謝でいっぱいでした。『おにのまつり』の一部を朗読してくださった方もいて泣きそうだった。ありがとうございました。

・その他はほぼサロン準備しかしていなかった。とにかく今月は通院ばかりで疲弊ぎみ。早く落ち着いて原稿を書きたいです。

【観た映画とか読んだ本とか】

『ザ・クリエイター/創造者』

 ガバガバ設定と謎アジア(天川はガバガバ設定と謎アジアは大好きです)、かと思えばごくシリアスな生死の描写……ちょっとテンションが追い付かず、いまいち入り込めなかった。まあ『ローグ・ワン』の監督だものな。おちゃらかハッピーエンドになるわけないよな。巨大構造物やAIのデザインはかっこよかったです。

www.20thcenturystudios.jp

『ガザに地下鉄が走る日』岡真理(みすず書房)

 こんなひどいことが起こっているのに、日々のうのうと生きているのがしんどい。無力感ばかりが募る。

www.msz.co.jp

【その他】

・仲間内で年に一度句会(俳句を詠む会だよ!)をしているのですが、超楽しいです。GoogleFormに投句して、作者名を伏せたままそれぞれの句を鑑賞するという会。別に文筆家でもないのにこういうイベントに気軽に乗ってくれるフレンズ、いつもありがとう。

・以前Zoomインタビューにお答えした出身小学校の生徒さんが、インタビューの模様を壁新聞にしてくれました。嬉しいな。こんな依頼ならいつでもウェルカムです。

この気だるげな愛猫を見よ。

・ここ数か月、病院病院また病院、で落ち着かない。厄年だなあ。なお生死にかかわるようなものではないので大丈夫です。

書き手のためのジェンダー勉強会サロン

 日本児童文芸家協会のサロンにて、「書き手のためのジェンダー勉強会サロン」を主催しました。たくさんのご参加、ありがとうございました!

 成蹊大学の今田絵里香教授をお招きし、ジェンダーバイアスやLGBTQ+についての基礎知識を確認した後、後半は具体的に創作の中での表現について検討しました。

 今田先生には準備段階から多大なるご協力をいただきました。おかげさまで、とても充実した内容になったと思っています。途中バタバタしたり、大幅に時間を延長してしまったりしましたが、なんとか無事に終わってホッとしています。ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。

 *

 当日は時間がなくて、そもそもこのサロンをどうして開いたのか説明できなかったので、少しだけ。

『虹色のパズル』(文研出版)を書いたとき、NPO法人ReBitさんに表現監修に入っていただきました。私はこれがすごくよかったと思っています。

 LGBTQ+をメインテーマにしようと決めたときから、責任をもって書こうと強く思っていましたし、本や映像等の資料で手あたり次第に調べ、セミナーや講座に参加し、ドラァグクイーンさんに取材に行き、当事者の方に完成原稿も読んでもらっていたので、ある程度はクリアしているだろうと自分では思っていたんです。

 でも、監修の方から返ってきたのは、20を超える指摘と修正。それこそサロンでお送りした資料のような、「日本語としては間違ってないけど、差別や偏見につながる恐れがあるよ」という指摘の嵐だったんです。

 ものすごく反省しましたし、意識しているつもりで書いてもこれなんだから、ふだんの文章は偏見まみれなのでは……と空恐ろしくなりました。そして同時に、これってみんなもやりがちな失敗なのでは? 自分だけじゃなく、みんなと共有したほうがいいのでは? とも思いました。自分の作品だけよくなればそれでOK、という話ではないと思ったんです。

 というのも、当事者の方とお話すると、小さなころからフィクションの中に自分の居場所はなかったっておっしゃる方がすごく多いです。自分を投影できるキャラクターがなかなか見つからなかったって。児童書作家として、そんな悲しいことはないです。

 というわけで、ジェンダーに関心のある作家が集まっていろいろ話せる会をやりたいんですが……とサロン委員会の先生方にご提案してみたところ、それならまずは講義形式で基礎知識をみんなで共有したほうがいいね、という話になり、今回のサロンになりました。私でいいんだろうかと6億回くらい思いましたが、言い出してしまったものは仕方ないので、自分でも今一度勉強し直しながら、誠心誠意準備してきたつもりです。

 サロンの中で、もしかしたら責められたように感じたり、反発を覚えたりした方がいるかもしれません。私の言葉足らずで嫌な思いをさせてしまったらすみません。お前は何様やねんと思われたかもしれない。ほんとそうですよね。でも、誰かがやらなきゃいけないって思ったんです。

 もちろん、完璧な表現なんてありません。どんなに頑張ったって、全員に満足してもらうことはたぶんできない。それを承知の上で、それでもよりよい表現を模索するのが、作家の仕事だと考えています。

 差別は誰だってします。だから、失敗に気づくたびに反省して変えていけばいいと思います。偏見のない人間になろうとするよりも、自分には偏見があると常に自覚しておく方がきっと大事です。

 *

 ところで出たばかりの『恋愛文庫』、天川の短編「魔法使いとキャンディボンボン」は、某キャラクターの恋の相手が同性か異性か断定できないように書いてあります。私は私にできることを、小さなことからコツコツと。

11/30発売『1話10分恋愛文庫』

 宮下恵茉先生編集の素敵アンソロジーに参加させていただきました!

 恋愛×スイーツの短編集。天川は「魔法使いとキャンディボンボン」というお話で参加しています。他の参加メンバーが超豪華でびっくりです!

www.shin-sei.co.jp

 永遠のひよっこ作家天川、このようなアンソロジーに参加するのは初めてです。

 ご依頼をいただいたとき、最初に思いついたのは同性を好きになった子のお話だったのですが、既に他の先生が同様のアイディアを出されており断念。(ちなみに大人気のあの先生です! すっごい作品なので、みんな読んで。)

 代わりにと言っては何ですが、現代の青春ものが多い中に魔法ファンタジーをぶっこんでみました。とってもかわいいお話になったと思っているので、レジェンド作家さんたちの作品の箸休めにでも読んでいただければ嬉しいです。

 短編のお仕事は、いつもは書かないようなお話を書けて楽しいです。その上、尊敬する大作家の先生方と並べるなんて! 贅沢な機会をくださった宮下先生、ありがとうございました。

 甘くて苦くてたまにしょっぱい、バラエティ豊かな短編集。どうかたくさんの読者さんに楽しんでいただけますように。

10月月報

【お知らせ】

・『アンドロメダの涙 久閑野高校天文部の、秋と冬』(講談社)好評発売中です!

bookclub.kodansha.co.jp

・『1話10分恋愛文庫』(新星出版社)アンソロジーに参加しました。
 
宮下恵茉先生編集、恋×スイーツの恋愛短編集です。メンツがすごい。天川は久しぶりにファンタジーを書きました。11/30ごろ発売。

www.shin-sei.co.jp

11/19(日)にYAA!*1さんのオンライン定例会にて、天川作品の読書会が開かれます。
 YA世代が集まる会です。中高生のご参加大歓迎! 天川のYA作品を読んで思ったこと、考えたこと、お気に入りの作品、ダメ出しなどなど、何でも聞かせてくださいね。

www.jasclhonken.com

・12/1(金)書き手のためのジェンダー勉強会サロンを主催します。
 ゲストは成蹊大学の今田絵里香教授。児童書におけるジェンダーバイアスやLGBTQ+キャラクターの書き方などについて考える、講座形式のサロンです。(申し込みは終了しました)
 思い付きとかではもちろんなく、色々考えて、勇気を振り絞っての提案でした。参加者ゼロだったらどうしようと不安でしたが、蓋を開けてみれば定員を大幅に超過する申し込みをいただきました。ありがとうございます。参加者の方に十分ご満足いただけるよう、誠心誠意準備しておりますので、どうぞお楽しみに。

jidoubungei.jp

【お仕事】

・改稿。

・企画。

・企画が2つ通る。頑張るぞい。

・出身小学校の図書委員さんのインタビューを受ける。

・サロン準備。

【観た映画とか見たアニメとか】

『映画プリキュアオールスターズf』

(読まなくていいです)正直やっぱりオールスターズメモリーズには勝てん。でも泣いちゃった。「プリキュアって何?」って問いに答えなかったのがよかった。プリキュアって何? その答えはそれぞれの胸の中に。私にとってのプリキュアはね、ふたりが手をつないだときの、グローブがきしむあのギュって音。ひろプリは初代オマージュが多いけど、ソラとましろが手をつなぐとき、なぎさとほのかの影が見える気がするんだよね。
 お話はまあガチャガチャしてたし、エンディングがいきものがかりだったのも個人的には違うって感じなんだけど、でもラストの78人のダンスシーンで、キュアウィングがみんなの中で踊ってるのを見たときにね……もう大丈夫だって思ったの。プリキュアのこと信じてるけど、それでも男の子一人だけで大丈夫かな、ちゃんとなじめるかな、やっぱり浮いちゃったりしないのかなって心配してたけど、しっかり先輩たちの間で胸張って踊ってて、あのときツバサくんに「大丈夫ですよ、僕もプリキュアです」って言われた気がして、だからもう大丈夫だって思ったんです(全部妄想)。

2023allstars-f.precure-movie.com

機動戦士ガンダム 水星の魔女』

 1期は楽しく毎週見てたんだけど、ご多分に漏れず最終回でウッとなってしまい、2期は録画だけして溜めていたのをイッキ見した。思ったほど死ななくてよかった。いや死んだけど……。一番好きなキャラはマルタンです。
 その後の炎上も知っているのでナントモだが、個人としてはすごく楽しめたし面白いと思った。戦争に対して起業で立ち向かうあたりが現代的というか。しらんけど。
 あとアスティカシアの制服が好きだった。男女ともに基本は同一デザインのパンツスタイルだけど、着こなしはそれぞれ超自由、みたいな。

g-witch.net

【その他】

プリキュアシリーズ20周年*2プリキュア展に行ってきました。

f:id:eighttenkawa:20231030180422j:image f:id:eighttenkawa:20231030180440j:image f:id:eighttenkawa:20231030180500j:image
(読まなくていいです)プリキュアのイラストやパネル、全シリーズの設定画やおもちゃの展示など、大ボリュームだった。脇役や敵キャラまで全員展示してくれててもう全部懐かしかった。日曜朝、実家のリビングの窓から差し込む朝日まで、まざまざと記憶がよみがえった。
 特に後半の初代の偉大さについて語るブースが一番よかった。セーラームーンキューティーハニーに感じていた、あのちょっと性的な感じ、結局魔法で何とかする感じ、大事な場面で男性に守られる感じ、初代プリキュアはそれらと完全に無縁だった。あのとき私はたしかに救われた。大口開けてガハハと笑うがさつなスポーツ少女と、大人しそうに見えてズバズバ物申す理系秀才少女が、パステルカラーとかではなくまさかの白黒の、だけどハートとフリルのついたコスチュームで、徒手空拳のガチの肉弾戦をする。女の子だって暴れていい。可愛いと強いは矛盾なく両立する。そのメッセージは、毎週、日本中の女の子たちを鼓舞してきたし、今もずっと支えてくれている。今改めてその偉大さを思う。ありがとうプリキュア

・大阪レインボーフェスタ2023でパレードに参加しました。

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パレードの様子。雨の中、大阪のど真ん中を歩く

関西最大級のLGBTQ+のイベント。TRPに比べればまだまだ小規模なのかもしれないけど、雨の中、あれだけたくさんの人が一緒に、プライドフラッグを振りながら歩いていて、沿道の人も手を振り返してくれたりして、味方はたくさんいるんだってわかって心強かった。いろいろ言われることもあるけど、私はアライとして正しいと思うことを誠実にやり続けようと思う。

*1:一般社団法人日本子どもの本研究会 ヤングアダルト&アート・ブックス研究部会

*2:20周年企画にはがっかりさせられ続けてきた。舞台化のやつとかオトナのやつとかメタバースのやつとか、マジで全部求めてなくて泣きそうだった。でも全プリキュア展は本当によかった。ありがとうプリキュア

9月月報

【お知らせ】

・『おにのまつり』(講談社)が第9回児童ペン賞 少年小説賞を受賞しました!
eight-tenkawa.hatenablog.com
・『アンドロメダの涙 久閑野高校天文部の、秋と冬』(講談社)発売中です。
eight-tenkawa.hatenablog.com
・12月に児童書作家向けのジェンダー勉強会サロンを主催します。詳しくは追ってお知らせします。

【お仕事】

・取材。

・原稿。

・打合せ。

・プロット。

・資料集め。

・高校生文芸道場おかやま。今年も楽しかったです!

【見たドラマとか観た映画とか読んだ本とか】

実写版『ONE PIECE

 すごくよかった。もちろん原作を超えることはないし、いろいろ端折ってるからあちこちに無理はあるんだけど、本当に全力で作っているのが伝わってきた。すごいよNetflix
 今回、海軍サイドが深掘りされてるのがめちゃよかったですよね。コビーもヘルメッポも最高すぎ。最優秀バディ賞あげてくれ。
 後からいろいろ調べたら、コビー役の俳優さんがオープンリートランスの方だったり*1、サンジ役の俳優さんが摂食障害の経験者だったりして……実写化ってこういうことなのかと改めて思わされました。「キャラ」と「俳優」が合わさって「役」になるのだ、というか。セカンドシーズンも期待して待ってます!

www.netflix.com

グランツーリズモ』

 めちゃくちゃ面白かったです。実話ベースなんだけどとんでもない話なので、えっほんとに? どこまで本当? と心配しながら観た(ほとんどは本当だった)。逆にフィクションだと割り切った方が楽しめると思うくらい、ほんと、とんでもない話です。
 車にもゲームに詳しくないけど、レースシーンの迫力がすごくて楽しめた。日本人は絶対ニヤニヤできるから観た方がいいよ。

www.gt-movie.jp

『失敗しないためのジェンダー表現ガイドブック』新聞労連ジェンダー表現ガイドブック編集チーム(小学館

 ジェンダー勉強会サロンのために再読。「失敗しないための」というのがいかにも新聞っぽいが、媒体に限らず発信する機会のある人は全員読んだ方がいいと思う。
 私はこういうのの創作者向けバージョンがあればいいのになと思っている。創作の場合、たとえば差別的なキャラを書きたいときにはあえて差別的な言動を描写する必要もあるし、(正しいゾーニングの上での)表現の自由はもちろん守られるべきだから、難しいけど。でもだからこそ考えなきゃいけない。失敗のない表現なんて本当はありえないんだけど、失敗しながらも学び続けなきゃいけない。
 創作者向けジェンダー表現ガイドブック、絶対需要あると思うんだけどな。興味のある版元さんがいたらお声掛けください。

www.shogakukan.co.jp

『杉森くんを殺すには』長谷川まりる(くもん出版)

 最近は動画や漫画でも、ある種の表象を扱うものは、視聴者や読者に対して注意喚起の表示が入ることが増えた。何もかもそうすべきとは思わないが、少なくとも作り手としては、自分の作品が読み手にもたらしうる影響について責任を持つべきだし、ネタとして消費して終わり、みたいな態度は許されないよね。そういう意味で、とても誠実な一冊でした。私も気質的に引っ張られやすいタイプなので、こういうときどうしたらいいのかなって、最近よく考える。
 心が元気なときでいいので、ぜひ読んでほしい。解説まで含めて、すごくよかったです。

shop.kumonshuppan.com

【その他】

・今月は東京や熊本やオンラインでいろんな作家さんとお話できて楽しかった。尊敬する、目標になる、「こんな人になりたい」と思える作家さんが周りにたくさんいるのは、本当に幸せなことです。

・熊本ついでに鹿児島にも行きました。本場の白熊はデカかった。

・9/29-10/1にかけて岡山に帰っていたのですが、帰りの新幹線は行きの値段より500円も高かった。10/1付で値上げしていたのですね。よよよ。何もかも値上げでしんどい。頼むからお給料も上げてくれ。

*1:原作ワンピはジェンダー表象的にはけっこう問題のある作品なので、実写版はその辺りが改善されると嬉しいなと思っている。

高校生文芸道場おかやま2023

 高校生の文芸部の岡山県大会、高校生文芸道場おかやまに、今年も散文部門講師として参加しました。

全体会はこんな感じ。散文部門の参加者は36名でした。

 散文部門ワークショップでは、「キャラからストーリーを作る」という目標で、

・ランダムに配られた性格カードから、キャラクターシートを埋めてキャラを作る
・2人1組になって、それぞれのキャラの美点や欠点、成長課題、それらが現れるエピソードを考える
・エピソードをもとに、両方のキャラが登場するお話のプロットを作る
・プロットをもとに短編小説を執筆する
・出来上がった作品を読み合い、鑑賞する

という内容を、計3時間で(!)こなしてもらいました。

性格カードとキャラクターシート

 時間の読みが甘く、お昼休みまで使って作業をさせてしまったこと、大変反省しています。「あと5分でキャラをまとめて!」「あと2分で書ききって!」なんて、ふだんあんなにプレッシャーのかかる執筆ってないよね。ごめんね。でもみんな必死に食らいついてくれました。すごい!

 こんなスパルタなワークショップをやるのは、何年もこの大会の審査員を担当してきて、書ける子たちばかりだって知っているからです。気づいてないかもしれないけど、みんなすごい才能を持っています。少し訓練すればどんどん伸びるはずです。私は生徒さんたちの書く力を尊敬しているし、ハチャメチャに期待しているのです。

 実際、書き上げた作品を何人かに読み上げてもらったのですが、思わず鳥肌が立ってしまうような、ものすごいクオリティの短編が仕上がっており……私ちょっと本気で涙ぐんでしまいました。みんなすごいよ。本当にお疲れさまでした。

 ふだんは〆切に追われ、なかなか小説の技法についてまとめたり勉強したりすることも少ないので、年に一度、こうして自分の書き方を棚卸して整理するのは、とてもよい機会になっています。だいたい、私は誰かに師事したことも、創作教室に通ったことも、同人誌に参加したこともなく、完全に独学でぬるっとデビューしたタイプなので、(こんなこと言うと怒られそうだけど)本当は私なんかがえらそうに教えてあげられることなんてなくて、むしろ生徒さんから学ぶことばかりなんです。期待以上のパフォーマンスを返してくれて、本当にありがとう。そして運営に携わっていただいた先生方にも、厚く感謝を申し上げます。

 来年はどんなワークショップにしようかなって、今からわくわくしています。岡山の文芸を盛り上げていくため、これからも頑張ります!

【9/13発売】『アンドロメダの涙 久閑野高校天文部の、秋と冬』

 今年3冊目のYAが出ます!
アンドロメダの涙 久閑野高校天文部の、秋と冬』(講談社)9/13発売予定です。

 4月に出た『セントエルモの光 久閑野高校天文部の、春と夏』の続編です。
 表紙イラストは引き続き金子恵さん。少しだけ成長した(?)クガコー天文部メンバーたちを雰囲気のあるタッチで描いていただきました。本当に素敵! ありがとうございます。

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【あらすじ】

 11月の文化祭で、えるもたち天文部はプラネタリウムを上映することになった。技術面のサポート要員として、工業科2年で嵐士先輩の幼なじみの淳先輩を迎え、プラネタリウム作りを開始する。
 天球儀の穴あけ作業に加え、段ボールドームの準備や解説原稿の製作などで、天文部員たちはてんやわんや。
 そんな中、まわりから自分の進路について考えるように言われたえるもは、嵐士先輩や淳先輩たちの進路選択を間近で見ながら、迷い悩む――。

 *

 天文部の文化祭と言えばプラネタリウムでしょ! ってことで、大学時代に天文同好会でプラネ製作をした経験をフル活用して、プラネのお話を書きました。細部は違いますがほぼ実体験。リアルさはお墨付きです。

 私はプラネタリウムがきっかけで星好きになった人間なので、プラネが本当に大好きです。でも星好きとしてはもちろん、プラネだけじゃなくて本物の夜空も眺めてほしいと思います。ただ、本格的な天体観測となると、実際ハードルが高い。プラネは手軽だからこそ、星をあまり知らない人でも楽しめるのですよね。

 簡単できれいだけど「偽物の」夜空。カオスに満ち一筋縄では行かない「本物の」夜空。どっちが良くてどっちが悪いとかじゃない。

 これって夢を見ることに似てるような気がするのです。

 夢を見ることは簡単だけど、それを本当に実現するのは難しい。でもじゃあ、夢を見るのって悪いことなんでしょうか? あるいは、自分だけの夢なんて見つからなくて、ひとまず目の前の現実に手一杯になってしまうのは、悪いことなんでしょうか? 夢と現実に挟まれて、進路選択に悩んでいる読者さんに、この本が届けばいいなと思います。

 *

 さて折しも今年は近代プラネタリウム誕生100年の節目の年。各地のプラネタリウムが盛り上がりに盛り上がっているのであります。
 そんなご縁もあり、月刊星ナビ2023年10月号に、クガコー天文部シリーズの特集を載せていただいています! なんとカラーで見開き2ページ。(いいんですか??)
 実際の自作プラネの様子がわかる写真もたくさん載っていますので、ぜひチェックしてみてください。

www.kadokawa.co.jp 

 *

 クガコー天文部シリーズは、『セントエルモの光』『アンドロメダの涙』の上下巻で完結です。上巻では色々ゴチャついていた人間関係にも、下巻で一応決着がつきます。

 実はこの作品は当初、児童文庫のシリーズ向けに企画していた作品でした。ただ、小中学校には天文部は少ないので*1いっそ高校生を主役にして、YAに仕立ててみては? ということになり、それならSNSとの付き合いとか進路選択とか、高校生っぽいことを盛り込みたい! という流れで、気づけばこういう作品になっていたのでした。

 改めて読み返すと、えるもも嵐士も本当に困った人間で、言わなくていいことばっかり言うし、やらなくていいことばっかりするし、ずーっとうだうだ悩んでは空回りばかりしています。でもまあ思春期ってそういうものです。スマートな答えなんか出せなくていいし、そもそも世界ってそんな単純にできてないので、迷いながら進むくらいでちょうどいいんだよ。悩むのに疲れたら、たまには星空を見上げて、深呼吸してみてください。

 9/13発売です! どうぞよろしくお願いいたします。

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bookclub.kodansha.co.jp

*1:視界が悪く気温も下がる夜間の天体観測は、子どもにとっては非常に危険です。お子さんと観測される際は十分お気をつけください。